乳児期における摂食嚥下障害では,先天性疾患や未熟性による経口摂取困難のため,経管栄養を選択されることが多い.摂食嚥下機能の発達は,定型発達児において1歳頃には嚙み潰して食べる機能獲得がなされるため,摂食嚥下機能の獲得を促すためには,早期からの摂食機能療法は重要である.本研究では,乳児における摂食機能療法の実態について調査した.
対象は,2015,2016年度に当センターを受診した1歳未満の摂食嚥下障害患者である.調査項目は,疾患,初診時の生後月齢,性別,主訴,栄養摂取方法(初診時および転帰時),転帰として,疾患別に集計して各項目を比較した.
対象者は77名(平均生後月齢5.7±3.1カ月:男児47名,女児30名)であり,疾患は,心疾患,ダウン症候群,神経疾患の順に多くみられた.主訴の内容は,生後月齢が4カ月以下で「誤嚥の有無」が多く,5カ月を過ぎると「離乳食について」の訴えが多くみられた.栄養摂取方法は,初診時に経管栄養のみで経口摂取していない者が約半数みられたが,転帰時には,経管栄養を利用している者が19%に減少していた.摂食機能療法の継続の必要性は全体の8割に認められ,病院だけでなく地域の医療機関との連携が重要視されていくことが示唆された.