日本障害者歯科学会雑誌
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臨床集計
地方の口腔保健センターにおける近年の初診患者に関する実態調査―2005年報告と比較して―
野島 靖子森 貴幸大前(薬師寺) 紀子田尻 絢子関 愛子山本 昌直東 倫子井戸 菊夫野島 鉄人萩原 和繁江草 正彦
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2019 年 40 巻 1 号 p. 59-66

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抄録

津山歯科医療センター(以下,当センター)は,岡山県北部における障害者歯科診療の中核地の一つとして,1988年に設立された.近年の口腔保健センターにおける調査報告は首都圏のものが多数であり,地方からの報告は少ない.そこで,変化し続ける社会情勢に対応するためにも現状を把握し,今後の活動への一助とすべく,本研究では当センターにおける最近6年間に受診した初診患者の実態について,調査を行った.

対象者は,2010年から2015年にかけて当センターを受診した初診患者のうち,障害者歯科診療部門にて対応を行った71名とした.診療録および初診時に記載する問診票から,年齢,疾患,質問事項などについて集計し,1988年から2005年にかけて行われた薬師寺らの調査と比較した.

対象患者の63%が津山市内在住で,その他も近隣地域より来院しており,傾向に変化は認めなかった.年齢分布も同様に20歳以下が約半数を占めていたが,60歳以上の受診率が低下していた.患者の障害および疾患は,脳血管障害や四肢体幹障害の患者の割合は有意に減少していた.当センターの受診動機として,心身障害や全身疾患があるという理由が減少し,定期検診の希望が増加していた.

今回の調査より,患者の障害および疾患や要求は多様化しており,当センターは,かかりつけ歯科の機能をもった,二次医療機関としての充実を図る必要があると考えられた.

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© 2019 一般社団法人 日本障害者歯科学会
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