障害者歯科治療において,さまざまな理由により円滑な歯科治療を行えない場合がある.行動療法や体動コントロール法では適応困難な症例に対し薬物的行動調整法が選択される場合が多い.また,加えて薬物的行動調整を使用する症例はしばしば日々の口腔衛生管理に難渋する症例も多い.しかしそのう蝕リスクは明らかでない.そこで今回われわれは,薬物的行動調整患者にCaries Management by Risk Assessment(CAMBRA)を用いたう蝕リスク評価を行ったので報告する.
当部および関連歯科施設で薬物的行動調整を行った30名を対象に,CAMBRAを適応し,う蝕リスクをLow,Middle,High,Extreme(以下L,M,H,E群と表記)の4段階で評価した.30名の平均年齢は31.7歳(SD 11.3歳)であり,う蝕リスクはL群2名,M群5名,H群14名,E群9名であった.う蝕治療群(なんらかのう蝕治療を行った群)は15名(L,M群0名,H群8名,E群7名),非う蝕治療群(う蝕治療以外の歯周治療や口腔外科治療のみを行った群)は15名(L群2名,M群5名,H群6名,E群2名)であった.う蝕高リスク(H,E群)を示したう蝕治療群の患者数は,非う蝕治療群の約2倍であった.L,M群におけるリスク判定時およびリスク判定後初回来院時の歯科処置の主体は,薬物的行動調整下の非う蝕治療であった. H,E群ではリスク判定後初回来院時に通法での治療あるいは転医となった患者は7名であった.
薬物的行動調整が選択された患者において,CAMBRAによるう蝕リスクは,う蝕治療群のほうが非う蝕治療群よりも有意に高いという結論が得られた.