2020 年 41 巻 2 号 p. 72-81
障害児者の効率的なブラッシングには適切な歯ブラシの選択が重要だが,歯ブラシの選択の客観的な指標はない.本研究では客観的指標を得るために評価モデルを用いて歯ブラシの機能を評価した.
試験歯ブラシは,タイプI:3列平切り,タイプII:4列スーパーテーパード毛,タイプIII:4列段差植毛とした.平板に直径8.0mmの半円柱を設置したモデル(以下,SHCモデル)を用いて,追従性と清掃性を評価した.追従性はモデルをブラッシング時の歯ブラシのヘッドの垂直方向の加速度を指標とした.清掃性はモデルに貼付した磁気テープの剝離状態で評価した.
本研究条件下での追従性はII,III,Iの順で,清掃性はIIIが他に対して有意に高かった(p<0.01).
Iは高い清掃性で低い追従性のため高いスキルがあれば問題ないが,運動領域の障害では細部の清掃が困難と予想された.IIは高い追従性による滑らかな動きから感覚過敏や痛みを有する場合に適すると推察された一方で,低い清掃性のために多くの清掃回数が必要と考えられた.IIIはIよりも追従性が高く,清掃性も高いことから,歯ブラシを清掃面に接触させにくい運動障害や少ない清掃回数になりやすい情意領域への配慮が必要な障害児者に効率的な清掃となる可能性が推察された.
SHCモデルを用いて構造の異なる歯ブラシの追従性と清掃性を明らかにできた.本結果を組み合わせることで,障害特性に合わせた歯ブラシ選択の指標となる可能性が示唆された.