日本障害者歯科学会雑誌
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症例報告
気管腕頭動脈閉鎖術後の重症心身障害者に対する歯科治療時の全身管理
尾崎 貴子野口 いづみ大島 朋子佐藤 健一
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2020 年 41 巻 2 号 p. 89-93

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抄録

歯科治療時に筋緊張が亢進し,治療に難渋していた気管腕頭動脈閉鎖術後の重症心身障害者に対して亜酸化窒素吸入鎮静法を用いて良好に治療が行えた症例を経験した.患者は35歳,男性.喉頭気管分離術後であり,2007年の初診以降,定期的に歯科検診を受けていた.先天性ミオパチーのほか,けいれん重積型急性脳症後遺症として知的障害,てんかん,四肢の緊張があった.歯科で定期的に検診や口腔清掃を受けていたが,鎮静は行われていなかった.歯科治療時に筋緊張が一層亢進するようになったため,今回,亜酸化窒素吸入鎮静法を適用した.気管分離孔に蛇管を接続し亜酸化窒素を吸入させると適切な鎮静状態を保つことができ,筋緊張が緩和されたことにより問題なく歯科治療が行えた.喉頭気管分離術後の患者には亜酸化窒素吸入鎮静法が比較的容易に適用できるが,呼吸回数や呼吸量の減少などの呼吸抑制を想定して対処することが必要である.また,気管腕頭動脈閉鎖術後の患者に歯科治療を行う場合は頭位変換による過剰な頸部への負荷や,人工呼吸器からの気管カニューレへの振動に注意する必要がある.

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© 2020 一般社団法人 日本障害者歯科学会
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