2023 年 44 巻 2 号 p. 180-186
重症心身障害児・者入所施設における入所者の口腔ケアは,全身の健康管理において重要であることは周知されており,日々の口腔ケアは歯科専門職でない施設職員により実施されていることが多い.そこで今回,施設職員の口腔ケアに関する意識調査を行い,口腔衛生指導や口腔ケアの課題について検討した.
対象はA療育センターに勤務する職員104名.アンケートの回答率は97.1%(101名,うち看護師45名,療育員56名).入職前の口腔ケア経験の有無は,看護師82.2%,療育員37.5%で,療育員が有意に少なかった.口腔ケアにかける時間は看護師に対し療育員が有意に短かった.口腔ケアに対する課題の有無については,看護師が有意に多く,「人手不足」で40%以上,「他の業務が優先」で20%以上の看護師が業務環境に関する問題点を挙げていた.口腔ケア時に気を付けていることの有無および口腔ケアの困難さについては,90%以上の職員があると回答していた.気を付けている項目としては「口臭」や「全身の状態」で,療育員が有意に少なかった.口腔ケア指導を受けた職員は95%以上で,指導後の変化として,「粘膜排除」が看護師で有意に多かった.
今回の調査から,入職時の口腔衛生指導研修会は職員の意識変化に寄与していること,定期的に口腔衛生指導研修会を実施し,職員間の口腔ケアのスキルの差を少なくする必要があることが示唆された.