2025 年 46 巻 2 号 p. 153-159
横浜市歯科保健医療センター(以下,当センター)が,2018年9月から2024年3月までに在宅診療をした医療的ケア児者と重症心身障害児者の58人を対象に,患者と家族の生活背景に沿った訪問診療体制の構築を目指すため患者背景と動向の分析,調査を行った.調査項目は基礎情報,医療的ケアの有無と種類,医科受診状況,紹介医療機関または初診申し込み元機関,保健医療・介護サービス利用の種類,歯科相談内容と歯科受診歴,転帰である.対象者の初診時平均年齢は9.03±11.02歳で,原疾患・障害別では,脳性麻痺や脳症を含む中枢・末梢神経疾患が最も多かった.患者の46人に医療的ケアがあり,呼吸管理,胃ろうを含む経管栄養管理などを必要とした.また,超重症児者が13人,準超重症児者が19人であり医療依存度が高いことがうかがえた.医科受診は2,3次医療圏の病院に91.4%,1次医療圏の訪問医等の受診が44.8%であった.日中の活動では,在宅23人,通園14人,通学18人,通所3人であった.保健医療・介護サービス利用では訪問看護が52人と最も多かった.当センター患者の年齢分布と横浜市のデータ比較から,15歳以上における歯科診療のニーズの潜在化の可能性があり,その抽出には2,3次医療圏の病院の医師,歯科医師等との連携が必要と考えられた.また,定期的な歯科受診へのニーズが示唆され,患者とその家族の生活様式に合わせた円滑な診療のために,地域医療圏における1次から2,3次医療圏まで一体となった連携体制の構築が必要であると考えられた.