2025 年 46 巻 2 号 p. 145-152
背景:日本の入所型障害者支援施設に関する口腔健康管理状況の報告は限られている.歯科未介入の入所型障害者支援施設における口腔健康管理状況と入所期間の関連を明らかにすることを目的に横断研究を実施した.
方法と対象:札幌市にある入所型障害者支援施設の居住者28名を対象とし,2023年7月から2024年12月にかけて,口腔内診査および入所時データを収集した.この施設はそれまで特定の歯科医院との定期的な連携を実施していなかった.対象者は入所期間に基づいて11年以上と10年以下の2つの群に分類された.主な調査項目として,残存歯数,歯周病の状態,口腔セルフケアの状況,口腔衛生管理に対する施設の介入状況,最後の歯科受診からの経過年数が含まれる.
結果と考察:解析対象は27人で,男性が11人(41%),年齢中央値が71 [61-73]歳,入所期間の中央値が30 [29-30]年,入所時の年齢中央値が44 [39-56]歳,残存歯数の中央値が20 [14-24]本,重度の歯周炎が15人(56%),最後の歯科受診からの経過年数の中央値が28 [5-29]年であった.入所期間11年以上群は入所期間10年以下群と比較して,残存歯数が少なく(17 [9-21]本vs. 25 [24-29]本,p<0.01),年齢が高く(71 [68-75]歳vs. 56 [46-73]歳,p=0.03),最後の歯科受診からの期間が長かった(28 [18-29]年vs. 4 [3-5]年,p<0.01).本結果から,入所期間が長いほど口腔衛生状態が不良である可能性が示唆され,入所型障害者支援施設に対する社会的支援体制の強化と適切な歯科介入の導入が必要と思われた.