日本障害者歯科学会雑誌
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原著
Down症候群児の摂食嚥下機能発達支援が母親の不安に及ぼす影響
有田 憲司阿部 洋子園本 美惠人見 さよ子篠永 ゆかり枡富 由佳子古川 彩子大東 美穂
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2025 年 46 巻 2 号 p. 65-73

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抄録

Down症候群(DS)は,口腔機能の未熟な児が多いため,離乳期以降,DS児の母親は育児ストレスが増大する.われわれは,DS児に摂食嚥下機能発達支援を行うことにより母親の不安が軽減するか否かを明らかにする目的で,DS児の母親の不安を新版STAI検査によって初診時〔(以下,DS児の母(支援前)群〕と摂食嚥下機能の発達支援の終了時〔(以下,DS児の母(支援後)群〕に測定し,比較した.

被験者は,大阪歯科大学附属病院小児歯科に摂食嚥下機能の問題を主訴に来院したDS児の母親33名であった.また,陰性対照として定型発達児の母親群32名についても新版STAI検査を行った.

その結果,全尺度値に関しては定型発達児の母群とDS児の母(支援前)群の間に有意差が認められず,DS児の母群間においては,状態不安,特性不安ともに(支援後)群が有意に低い値を示した.下位尺度に関しては,DS児の母(支援後)群は,状態不安では不安不在尺度(A尺度)値が,特性不安では不安存在尺度(P尺度)値が(支援前)群より有意に低い値を示した.さらに,DS児の初診時年齢別に支援前後の得点を比較した結果,0~1歳群(15人)では,支援後の状態不安および特性不安のP尺度値が有意に低く,2歳群(9人)では,支援後の状態不安のA尺度値が有意に低い値であったが,3歳以上では差はなかった.

以上より,2歳までにDS児へ当科で実施しているような摂食嚥下機能発達支援を開始すると,DS児の母親の特性不安を軽減できることが示唆された.

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