2025 年 46 巻 2 号 p. 74-82
剝離上皮膜形成者の口腔ケアには,剝離上皮膜を軟化,除去しやすくするために口腔保湿剤が用いられる.しかし,既存の口腔保湿剤では除去が困難な場合があり,除去時の出血リスクもある.そこでわれわれは,天然多糖類で,ハイドロコロイドであるペクチンを用いたハイドロジェルによる剝離上皮膜の除去効果について検討した.
同意を得た経管栄養の要介護者を2群に分け,調査を行った.まず口腔内診査にて口蓋付着物の有無と性状を記録し,病理標本作製に必要最低限の量を採取した.その後,口腔ケアを行い,口蓋粘膜ケアに際し,1群はペクチンハイドロジェル,もう1群はグリセリン含有保湿剤を用いた.調査は規定時間ごとに行い,各調査で口蓋粘膜ケアに要した時間とケア後の点状出血の有無を記録した.全調査終了後,ウォッシュアウト期間を経て,群を入れ替えて同様の調査を行った.剝離上皮膜の判定は作製した病理標本により行い,性状は視診により,なし,粘液状,粘稠状,乾燥膜状に分けた.統計解析は,使用口腔ケア用品による剝離上皮膜性状別ケア時間の比較にMann-WhitneyのU検定を,出血回数の比較にFisherの確率計算を用いた.
ペクチンハイドロジェル群のほうが,乾燥膜状における粘膜ケア時間が有意に短かった(p<0.05).また,出血回数が有意に少なかった(p=0.039).以上より,ペクチンハイドロジェルの剝離上皮膜除去に対する有効性が示唆された.