2026 年 47 巻 1 号 p. 39-45
横浜市歯科保健医療センター(以下,当センター)が,2018年9月から2024年3月までに在宅診療を行った医療的ケア児者と重症心身障害児者の58人を対象に,横浜市における当センターの方向性を定めることを目的に訪問歯科診療の診療傾向や多職種連携の取り組みについて分析,調査を行った.調査項目は年度別初診患者数・累計患者数,診療回数,初診申込み元機関,居住地分布,医科との連携状況,年度別診療内容,予約キャンセル率,歯科との連携状況である.
初診患者数,診療回数は支援者育成に関する研修・講演などの対外的な活動に比例して増加した.初診の申し込みは医療的ケア児者等コーディネーター拠点からが最多であった.初診患者増加の一因として横浜市歯科医師会が横浜市の医療的ケア児・者等支援検討委員会へ参加し,さらに市主催の研修会などでの活動が考えられた.居住地分布では横浜市全域の依頼を受けているが,一部地域で診療報酬上,距離的限界があった.診療内容は口腔ケアが最も多く,医科連携を全症例で行う体制が診療の円滑化に寄与した.キャンセルの主な理由は患者の体調変化であり,診療体制の維持継続には対策が必要と考えられた.地域主導の在宅歯科診療体制確立のために2次医療機関の役割として口腔ケアと定期的な歯科受診の啓発活動,さらに将来的な2次医療機関の配置や1,3次医療機関・自治体との連携体制の強化が課題として示唆された.