2026 年 47 巻 1 号 p. 52-57
薬理学的アプローチ(pharmacologic behavior management:PBM)下で歯科治療を受けた障害者患者は,治療終了後に紹介元医療機関へ逆紹介されることが多いが,逆紹介後に地域で対応可能な診療範囲については十分に明らかにされていない.本研究(第2報)では,PBM下治療を実施した患者の紹介元医療機関を対象としたアンケート調査により,逆紹介後に対応可能と自己評価される診療範囲を明らかにし,地域移行における課題を検討した.2018年2月から2023年9月までにPBM下治療を受けた625人のうち,紹介元医療機関423件から回答を得た.その結果,「口腔衛生管理のみ可能」とする回答が最も多く,切削や浸潤麻酔を伴う歯科治療については地域での対応が困難と認識されていることが示された.一方,脳性麻痺患者では浸潤麻酔を含む治療が可能とする回答が比較的多く,障害特性による差が認められた.結論として,PBM依頼患者が専門施設に集中する傾向がみられ,治療終了後の地域移行が円滑に進みにくい可能性が示唆された.地域医療機関における行動調整支援,鎮静・抑制技術に関する研修,および逆紹介後の連携体制整備が,地域移行推進において不可欠であることが示唆された.