2026 年 47 巻 1 号 p. 72-82
脳性麻痺児・者は特有の運動・姿勢の異常を伴うことにより,歯科診療において,苦慮することが多い.脳性麻痺児・者に対する歯科診療において,歯科衛生士の3大業務のうちの「歯科診療補助」において直面する課題を明らかにし,より安全かつ効果的な対処の在り方を検討した.
日本障害者歯科学会の会員で,調査に同意が得られた脳性麻痺児・者の歯科診療に携わる歯科衛生士108名を対象とした.無記名自記式質問紙法を用いて診療補助における苦慮する点と対応・工夫について収集・分析した.
歯科衛生士は,診療補助において,開口保持困難,不随意運動,呼吸状態,誤嚥,人材不足などに苦慮していることが明らかとなった.それに対して,予約時間を調整して人材を確保したうえで,開口保持器具の使用,反射抑制体位などの姿勢調整,バイタルサインの確認,こまめな吸引を行っていた.
脳性麻痺児・者の歯科診療において,歯科衛生士による診療補助には多くの困難が伴うが,さまざまな工夫をして対応することで,治療を安全に遂行するための対応を工夫していた.しかしながら,歯科衛生士の診療補助に関する具体的な手法は示されておらず,今後,指針が示されることが期待される.