応用地質
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論説 連載特集 環境問題への挑戦(最終回)
環境問題に取り組む応用地質学を目指して
大野 博之
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2009 年 50 巻 3 号 p. 165-176

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抄録
 環境問題に対処する場合, 総合的な把握・判断が必要となる. 資源・エネルギーから食糧問題, そして, 出口の廃棄物問題のように, 全体の流れを考えることは, 持続的な社会環境を構築していくうえで重要となる. このために, 地質学に携わる者にどのようなことができるのか考察した.
 近年, 防災と環境問題とが, 気候変動などの関係から, 密接にリンクしてくるようになってきた. 災害に伴い発生する環境破壊, その逆に, 環境変化に伴う災害の多発, などがその例である. こうしたことを理解し, 人間と環境にとって総合的に判断してプラスとなることを具体的に実行するためには, 数十年単位の長期的な視野に立ち教育から考えていかなければならないこと, そのために, 根本的に何を教えるべきかを示した.
 さらに, 現象論・物性論・方法論を基にした実践的観点からのアプローチについて論じた. われわれは, 最大多数の最大幸福を目指し, 応用生態学的視点と環境経済学的視点を取り入れ, そのうえで, 時間と空間の四次元的な思考に立った複雑系の概念を取り入れて, 地域の環境問題に対応するべきことを示した.
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© 2009 一般社団法人 日本応用地質学会
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