応用地質
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地震防災に関する社会・市民への応用地質学の貢献
高見 智之橋本 修一太田 保
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2010 年 50 巻 6 号 p. 350-356

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抄録

 日本応用地質学会東北支部は, “迫りくる宮城県沖地震に備える” をテーマに平成15~17年度にかけて一般公開シンポジウムを開催し, 特別講演やDIG(Disaster Imagination Game)実習等の活動を市民向けに実施してきた. この目的は, 地質や地盤, 地下水の知識を一般市民に提供することにより, 市民自らが身近な地形地質を知り, 地震災害をイメージし, 地震に備え, 地震防災を考えていくための支援をすることである. 東北支部は, 平成15~17年度にかけての3年にわたる活動内容を平成20年度にCDに取りまとめ, 関連学協会や行政機関に配布した. 東北支部の一連の活動の反響は大きく, 新聞やテレビに報道されて, 町内会連合会などから防災講座での講演やDIGの講習の依頼が多くよせられた. 学会の支部として可能な範囲で対応しているが, 依頼に対する細やかな対応については課題が残り, 他の関係団体との協力や役割分担の必要性がある. 東北支部としては一般市民に対する活動を通じて, 市民の防災に対する考えなどを学習することが多かった. 応用地質学はこれまで資源開発や土木建設などの産業に対する貢献で発展してきたが, 今後は社会に対して双方向のコミュニケーションを通じて, 社会技術としての応用地質学をさらに展開していくことが重要である.

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© 2010 一般社団法人 日本応用地質学会
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