応用地質
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報告
白亜紀防府花崗岩体で発生した土石流の分布と性状
大川 侑里金折 裕司今岡 照喜
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2012 年 52 巻 6 号 p. 248-255

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抄録
 「平成21年7月中国・九州北部豪雨」によって, 後期白亜紀防府花崗岩体の分布する防府市北部と山口市中部では土石流が多発し, 防府市で14名の犠牲者が出た. 防府市北部では, 平成5年にも大雨に伴って土石流が発生し, 5名の犠牲者が出た. 本報告では, 平成21年の豪雨で発生した土石流の分布と性状を詳細に記載するとともに, 平成5年の土石流の分布と比較する. 平成21年に発生した土石流の源頭部は, 524か所中478か所が防府花崗岩体に位置する. 防府花崗岩体は岩相によって, 粗粒黒雲母花崗岩, 中粒黒雲母花崗岩, 細粒黒雲母花崗岩および花崗閃緑岩に分けられる. 単位面積あたりの土石流源頭部の数は, 粗粒黒雲母花崗岩で最も多く5.5個/km2, その他の岩相ではその約1/2以下であった. 一方, 平成5年では130か所のうち109か所が中粒黒雲母花崗岩と粗粒黒雲母花崗岩であった. 1kmメッシュの起伏量と源頭部の関係は, 平成21年と平成5年のいずれの土石流も源頭部は起伏量が201~250mの区域に集中する. 500mメッシュの接峰面図に基づくと平成21年と平成5年の源頭部はそれぞれ201~250mと101~150mに最頻値を持つ.
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© 2012 一般社団法人 日本応用地質学会
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