2012 年 53 巻 2 号 p. 64-69
中新世大森層中の塊状の来待砂岩を対象に,採石場から採取された試料を用いて帯磁率異方性測定を行った.また採石場でまれに観察される堆積構造を基に,古流向を考慮して塊状砂岩から直交する3方向の面を切り出し,研磨片および薄片上で粒子の抽出を行い,粒子形状を楕円近似して長軸の卓越方向を測定した.粒子を楕円近似した場合に長軸が最も卓越する方向は古流向に直交する.またもう一つの長軸が卓越する方向が古流向の方向と一致する.一方これらの方向に直交する鉛直方向には長軸の卓越は認められず,最小帯磁率方向と一致している.来待砂岩のように層理面が発達せず塊状に見える砂岩にも,粒子形状や配列に異方性があることが明らかとなった.