2017 年 57 巻 6 号 p. 277-288
航空機によるレーザ計測は,地形の3次元データを精度よく取得できる測量技術として確立しており,最近では,多時期の計測結果を用いて大規模な地すべりや河川・砂防分野における土砂量の算定などに活用されている.しかしながら,数センチメートルオーダーでの緩慢な地すべりの変動を精度よく把握することは難しいのが現状である.そこで本研究は,グラウンドデータから任意の距離に位置する点群だけを抜き出した下層モデル(S-DEM:Substratum Digital Elevation Model)を利用した微地形を判別する手法および高精度で斜面の変動量を解析する手法を開発し,地すべり地内で発生した岩屑すべりの変動状況を詳細に推察できる成果を得たので報告する.