応用地質
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速報論文
干渉SAR解析によって推定した地表変動と地すべりブロックとの関連
―白山甚之助谷周辺の地すべりを例に―
石塚 師也藤井 幸泰金子 誠高橋 亨松岡 俊文
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2017 年 57 巻 6 号 p. 289-294

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抄録

近年,リモートセンシング技術の1つである干渉SAR解析を用いた地すべり地表変動のモニタリングが注目されている.干渉SAR解析では,地球上を周回する衛星搭載の合成開口レーダ(Synthetic aperture radar; SAR)のデータを用いるため,従来は観測することの難しかった変動量の面的分布を得られることに大きな利点をもつ.本研究では,日本有数の地すべり地帯である白山甚之助谷,別当谷および,湯の谷を対象として,我が国のSAR衛星であるALOS-2のデータを用いて干渉SAR解析を行い,近年の地すべり地表変動量を検出した.解析の結果,2014年8月から2016年6月の期間において,年間約5~10cmの地すべり地表変動を捉えた.また,地表変動の空間分布は,従来の研究により確認されている地すべりブロックと整合的であり,本研究により,近年活動している可能性のある地すべりブロックが明らかになったと言える.本研究の結果は,干渉SAR解析技術を用いた地すべり地表変動量の把握の有効性を示すものである.

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© 2017 一般社団法人 日本応用地質学会
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