2017 年 58 巻 3 号 p. 188-196
2016年4月に発生した熊本地震による斜面土砂災害では,6つのタイプの斜面崩壊があった.これらの斜面変動は,活断層の両側の10km以内で発生しており,特に活断層の近隣箇所では規模の大きな崩壊を含んでいる.斜面変動範囲や崩壊規模と断層からの離隔距離について,今回調査対象である布田川断層(横ずれ断層)におけるこれらの関係は,ほぼ同じ規模(M7クラス)であった2014年長野県北部地震(逆断層)および2011年福島県浜通り地震(正断層)における同関係に対して,それらの中間的な位置づけであることが分かった.
地震発生の2か月後の豪雨により,地震による斜面崩壊の拡大や沢沿いの新規の斜面崩壊が発生し,その約半数は土石流化した.