応用地質
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58 巻 , 3 号
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報告
  • 桑野 健, 岩崎 智治, 原 崇, 戸沢 正徳
    2017 年 58 巻 3 号 p. 166-177
    発行日: 2017/08/10
    公開日: 2017/11/08
    ジャーナル フリー

    ブータン王国は国土の約95%が標高600m以上の山岳国である.同国では道路が主要な交通・輸送手段であるが,国土の大部分が険しい山岳地帯で,十分な斜面災害対策が実施されていないため,道路のいたる所で斜面災害が頻発し他地域から断絶される地域が発生し,農作物出荷や人の移動に支障をきたしている.

    そこで著者らは,独立行政法人国際協力機構の「道路斜面管理マスタープラン調査プロジェクト」の一環として,同国で斜面防災点検を実施し,ブータン独自の点検帳票を提案した.本研究では多変量統計解析の一種である数量化理論を用いて災害形態毎に影響を与える要因とその影響度を検討し,ブータン専用の点検帳票に記載すべき災害要因並びに点数(重み付け)を決定した.

    解析の結果,ブータン王国における岩盤斜面崩壊では「崩壊性要因を持つ地形」,「表土及び浮石・転石の状況」,「斜面勾配」が特に危険度を大きくする要因であり,土砂斜面崩壊では「流れ盤」と「斜面勾配」が,地すべりでは「地すべり地形」が特に影響を与えていることが明らかとなった.これらの解析結果を通して,ブータン王国の道路斜面災害に対して特に注意を払うべき斜面の特徴や条件が明らかとなった.

  • 水野 崇, 岩月 輝希, 松崎 達二
    2017 年 58 巻 3 号 p. 178-187
    発行日: 2017/08/10
    公開日: 2017/11/08
    ジャーナル フリー

    本研究では,北海道幌延地域に分布する新第三系堆積岩を対象に,ボーリング孔において実施された比抵抗検層結果から地下水の水質を把握するための手法について検討を行った.比抵抗検層結果からの水質の推定については,Archieの式等を用いて等価NaCl濃度を算出した.この計算により求められた等価NaCl濃度と,ボーリングコアから抽出した間隙水のNaCl濃度の分析値をt検定により比較した結果,対象としたボーリング孔11孔のうち9孔において有意差(有意水準5%)がないと判断できた.これらのボーリング孔では算出したNaCl濃度と分析値の間に良い相関が認められたことから,比抵抗検層結果に基づき等価NaCl濃度が算出できることを示唆した.分析値と計算値が一致しなかった2孔のボーリング孔については,ボーリング孔掘削時の掘削水が孔壁から岩盤へ浸透したことにより,比抵抗検層の対象領域における間隙水の比抵抗値が変化したためと考えられる.これらを踏まえ,比抵抗検層結果から間隙水の等価NaCl濃度を推定する際の注意点などを整理するとともに,実際の調査現場において適用する際の手順を提示した.

  • 稲垣 秀輝
    2017 年 58 巻 3 号 p. 188-196
    発行日: 2017/08/10
    公開日: 2017/11/08
    ジャーナル フリー

    2016年4月に発生した熊本地震による斜面土砂災害では,6つのタイプの斜面崩壊があった.これらの斜面変動は,活断層の両側の10km以内で発生しており,特に活断層の近隣箇所では規模の大きな崩壊を含んでいる.斜面変動範囲や崩壊規模と断層からの離隔距離について,今回調査対象である布田川断層(横ずれ断層)におけるこれらの関係は,ほぼ同じ規模(M7クラス)であった2014年長野県北部地震(逆断層)および2011年福島県浜通り地震(正断層)における同関係に対して,それらの中間的な位置づけであることが分かった.

    地震発生の2か月後の豪雨により,地震による斜面崩壊の拡大や沢沿いの新規の斜面崩壊が発生し,その約半数は土石流化した.

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