2018 年 58 巻 6 号 p. 387-394
平成28年4 月16日に熊本地方を震源とするMj7.3(Mw7.0)の熊本地震(本震)が発生し,阿蘇大橋近傍では規模の大きな斜面崩壊が発生した.この斜面崩壊地では,国道や鉄道などへの被害が激甚であったことに加え,繰り返される余震によりさらなる斜面崩壊が生じることが懸念された.このため,本事業では安全性を確保しながら調査や施工を迅速に進めることが求められた.今回,人が立ち入れないような斜面崩壊地において,航空レーザ計測,UAVによる写真測量・計測を施工の進捗にあわせて実施し,さらにこれら結果を活用した地表踏査,地山安定性評価などを実施した.また,土留盛土工の規模や形状および頭部排土工の掘削範囲の設計は,測量成果により作成した3 次元データと地表踏査の結果に基づいて行った.これらの対策工事は無人化機械にて行い,施工中は動態観測などにより斜面を監視しながら安全に工事を進めた.また,これらの一連の調査・設計・施工はICT(情報通信技術)を活用しながら実施した.