応用地質
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論文
常時微動観測に基づく勝山盆地の地下構造の推定
小嶋 啓介 国谷 努伊藤 雅基山本 博文大堀 道広奥山 大嗣
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2020 年 61 巻 2 号 p. 50-58

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抄録

福井県東部に位置する勝山盆地は,同県の最大河川である九頭竜川水系を起源とする段丘および扇状地が発達した盆地である.本研究では勝山盆地周辺を対象として,常時微動観測情報に基づいて地下構造推定を試みた結果を検討している.常時微動の単点3成分観測から,H/Vスペクトルを求め卓越周期を判読し,その段丘・扇状地区分ごとの分布を調べた.また方位ごとの水平/鉛直スペクトル比を検討し,H/Vスペクトルから地盤の傾斜方向を推定できる可能性があることを示した.微動センサー間の距離を等比数列的に配置する展開アレイ観測を8地点で実施し,拡張SPAC法を適用することにより,Rayleigh波位相速度を算出した.微動観測から得られたRayleigh波位相速度およびH/Vスペクトルをターゲットとする逆解析により,S波速度と層厚の最適解を算出し,勝山盆地の2次元地下構造断面の推定を試みた.

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© 2020 一般社団法人 日本応用地質学会
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