応用地質
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報告
空中写真判読による山地の応用地形学図作成の試み
―大規模地すべり地の活動状況調査の事例―
足立 勝治中曽根 茂樹小野田 敏佐藤 昌人
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2023 年 64 巻 3 号 p. 124-135

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抄録

山地の集団移動地形である大規模地すべり地を対象に6時期の空中写真判読を実施して,地すべりの微地形について時系列変化を把握した.空中写真は,1947年,1957年,1974年,1983年,2004年,2014年を使用した.地すべり地形の抽出は5 mDEMから作成した赤色立体地図を使用した.各種の微地形の経年変化を,時間的スケール70年程度の期間で活動状況を推定した「地すべりブロック活動推移状況図」に整理して応用地形学図試案を作成した.空中写真判読で各種の微地形の新しさを,地肌や小地すべりブロック,崩壊地,亀裂等の新たな出現を前時期の空中写真と比較・分析して変化を抽出した.本手法は,大規模地すべり地で進行する緩慢な変動や尖端部などの局所的な変位の発生の追跡に有効であることが確認できた.今後は,集団移動地形の各種の微地形について,多時期の空中写真判読にLiDAR-DEMの活用を併せた手法で適用事例を増やすとともに応用地形学図の凡例づくりが課題である.

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© 2023 一般社団法人 日本応用地質学会
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