2023 年 64 巻 4 号 p. 199-203
近年,岩石力学分野の実験では,計測するセンサーが増えジャケットを始めとした実験装置が複雑化している.このような中で,ジャケットはセンサーケーブルを取り出すように加工する必要があり,これを3Dプリンターで作成することができれば,センサーケーブルをジャケットから取り出す不便さが解消される.この数年,光造形の3Dプリンター用の樹脂として,ゴム樹脂が開発されており,その印刷精度は高く,複雑な形状を立体的に印刷することが可能である.本研究では,高弾性ゴムレジンを用いた光造形の3Dプリンターによるジャケットの作成を試み,岩石に対する透水試験や力学試験に利用するにあたりシール性能があるかどうかの評価を行った.リークテストの結果,拘束圧を20MPaまで上げてもジャケットで隔離された間隙水圧は変化せず,ジャケットの止水が完全であることが確認できた.また,印刷された高弾性ゴムの性能を評価した結果,水を拘束圧媒体として使用した場合,透水試験や機械的試験においてジャケットとして十分な性能を有することが明らかにされた.