応用地質
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ボーリング調査に基づく鹿児島湾竜ヶ水急崖の地質構造
横田 修一郎岩松 暉
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1998 年 39 巻 2 号 p. 193-201

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抄録
鹿児島湾に面して急崖をなす竜ヶ水地区では豪雨時に崩壊や土石流が頻発している. これまで漠然としていた急崖構成層の分布形態や水理特性について, 台地上からのボーリング調査結果を中心に地表踏査や電気探査の資料をも併せて検討した.
その結果, 火山岩類, 火砕岩類と堆積岩類の急崖での正確な分布形態が把握でき, 層状をなす各岩層はボーリング・コア状態から透水層と難透水層に識別できた. それらは急崖に対して受け盤に近い地質構造をなすこと, 透水層と難透水層は交互に重なっていること, 顕著な断層は存在しないこと等が明らかになった. これらは, ボーリング時の孔内水位の低下過程や電気探査による比抵抗分布によっても裏付けられる.
このような地質構造に基づけば, 台地面への降雨水の大半は急崖側とは違った方向に流下すると推定され, これは急崖河谷での流水の少なさとも対応している. ただし, 透水層部分では, 強雨時には地下水位の上昇に伴い, 崩壊・土石流の誘因となる急崖側への湧水も可能性がある.
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© 日本応用地質学会
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