応用地質
Online ISSN : 1884-0973
Print ISSN : 0286-7737
ISSN-L : 0286-7737
圧密型岩石抽水装置の製作と深部堆積岩への適用
木方 建造大山 隆弘馬原 保典
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 40 巻 5 号 p. 260-269

詳細
抄録

第三紀の堆積岩地盤の詳細な水理地質構造を把握するためには, その基礎データとしての地質・水理・地化学特性の評価が不可欠とる. このうち地下水の地化学的な特性評価をするためには原位置からの地下水採取・分析もさることながら, 岩石の間隙水の採取・分が有力な手段となる. このような観点から, 堆積性軟岩の間隙水を抽出する装置を製作し, 大深度ボーリングにより掘削された主として第四紀~新第三紀の堆積岩のコア試料に本装置を適用し, コア間隙水を抽出した.
ボーリング掘削泥水のコアに対する影響評価を, 掘削水にトレーサ物質を投入することによって実施した. その結果, 掘削水の影響は浅部の砂質岩で10%程度, 深部の泥岩では0%であることを明らかにできた.
各深度の試料の水質分析や同位体分析の結果, 間隙水は深部に従って, Na+とHCO-3に富み, 酸素同位体比が軽くなることが明らかとなった. この間隙水の水質は, 方解石の溶解および粘土鉱物のイオン交換反応により形成されたと推察された. また, 風化による長石からカオリナイトの生成に伴う酸素・水素同位体分別により, 同位体のマイナス側へのシフトが説明できた.

著者関連情報
© 日本応用地質学会
次の記事
feedback
Top