応用地質
Online ISSN : 1884-0973
Print ISSN : 0286-7737
ISSN-L : 0286-7737
砂質土トンネル切羽の自立性評価試験法に関する研究
木谷 日出男太田 岳洋
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 40 巻 5 号 p. 270-280

詳細
抄録

砂質土地山でのトンネル掘削の最も重大な問題に, 湧水に伴う切羽の流出や崩壊の発生がある. 筆者らは, その発生の有無を評価するとを目的とする地下水の浸透力と地山の強度の関係をモデル化した基礎的な実験を行った. この実験は, トンネルを模擬した水平方向の浸透実験であり, 試料の崩壊時の動水勾配にあたる限界動水勾配を求めるものである.
本論では, 実際に施工中に切羽流出が発したトンネル位置で採取した試料を用い, 同実験手法を適用した結果と切羽状況を対比し, その結果から砂質土地山での切羽状態の評価法としての妥当性について考察した. その結果は次のとおりである.
(1) 不撹乱試料を用いた実験結果は, トンネル掘削時の切羽の状態をよく説明し得る.
(2) 現場での撹乱状態の試料を用いた実験結果は, 細粒分含有率をパラメータとして, 限界動水勾配と相対密度の間の基本的関係は指関数の回帰曲線で精度よく表される. この指数関数曲線を浸透崩壊特性曲線と称す. トンネル切羽の自立性は各土試料の特性曲線を比較することにより相対的に評価し得る.
これらの結果と適用条件に関する検討結果から, 本手法は砂質土を対象としたトンネル切羽の自立性評価試験法として有効であるという結論を得た.

著者関連情報
© 日本応用地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top