抄録
落石・岩盤崩壊の発生には, 地形・地質的なものを主体に多くの素因がかかわっており, 岩石斜面の安定性を評価するためには, これらの素因の考察が重要である. そこで, 鉄道沿線の岩石斜面の保守管理を念頭に置き, より的確で実用的な安定性評価法を提案することを目的として, これらの素因の分析を行った. 本報告は, このうち, 既存の安定性評価法ではどのような素因がどの程度のウエイトで評価に用いられているかを分析した結果をまとめたものである. 全体としては地質や地質構造が非常に大きなウエイトを占めており, 続いて斜面の高さや勾配が重要な評価項目となっている. また, 崩壊の形態による差異がみられ, 岩石崩壊では割れ目の状況, 地質構造, 斜面高さが, 転落型落石では転石の安定性, 風化・岩質, 斜面勾配が, 剥落型落石では割れ目の状況, 風化・岩質, 気温がウエイトの高い評価項目となっている. このほかには, 湧水, 斜面の被覆状況等も重要な評価項目となっている.