応用地質
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熊本市上江津湖の地下水環境に関する研究
国指定天然記念物スイゼンジノリの自生環境保護を対象として
荒牧 昭二郎金子 好雄市川 勉岡本 智伸椛田 聖孝
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2003 年 44 巻 2 号 p. 104-111

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抄録

近年, 自生スイゼンジノリが都市開発に伴う湧水量の減少と水質の悪化により絶滅の危機に直面している. この研究は, 電気探査による比抵抗映像解析や地盤情報データベースを用いた地層区分図, 湧水量や水質を調べ, 天然記念物スイゼンジノリ環境保護の基礎データを得るための総合的研究である. 調査の結果, 江津湖の1日の湧水量は約40万m3であり, 湧水量は7年間で10%程度減少していること, 江津湖の湧水は最上部の水脈と砥川溶岩上部と下部の3つの地下水脈が存在すること, 砥川溶岩中の地下水とその上の地下水は江津湖付近で一緒になり水質が混在していること, スイゼンジノリ自生地の水質は他の湧水池に比べてアルミニウムが少なく清純であり, その地下水は砥川溶岩の下の地下水から供給されている可能性が高いことがわかった.

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© 日本応用地質学会
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