抄録
火山ハザードマップとは, 火山災害を引き起こす可能性をもった危険な事象の発生源・規模・影響範囲・危険度などを予測して表示した地図である. 2000年の有珠山噴火災害では, 一人の犠牲者も出さずにスムーズな避難活動が行われた要因の一つとして, 有珠山ハザードマップの存在が注目された. また, 富士山のハザードマップ検討委員会も2001年から始まっており, 近々その成果が公表される予定である. このように日本で最近注目されはじめた火山ハザードマップも, 海外では1970年代からさまざまな国で作成されていた.
本報告は, まず火山ハザードマップの定義や作成方法を取りまとめたのち, 筆者らが収集した海外の火山ハザードマップ (13か国, 44火山の事例) を整理分析し, その代表的なものについて紹介したものである.