応用地質
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大規模地すべりの三次元地質構造モデルを用いた地下水流動解析
浅野 志穂松浦 純生岡本 隆
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2005 年 45 巻 6 号 p. 304-315

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抄録
地すべり地において適切な対策工を効果的に配置するためには, 地すべり発生の要因となる地下水の分布・変動特性や地質構造を三次元的に把握することが重要である. 本研究では厚い火砕流堆積物層が表層を覆う多雪地域の大規模地すべり地を対象に, 三次元的な地質構造を明らかにして, 現地観測や数値解析により融雪時期の三次元的な地下水位の変動特性や地下水の流動特性について検討を行った. ここでは地下水を大量に貯留して深部のすべり面の不安定化に影響を及ぼすと考えられることから, とくに浅層の火砕流堆積物層に注目して検討を行った. この結果, 融雪期において融雪水の浸透による地下水位の上昇特性は, 地すべり地内の位置ごとに異なることや, 地すべり斜面上部の陥没地形部分に地下水が貯留されやすい傾向にあることなどが明らかになった. これらの特性は地すべりの地形や地質構造などの影響を受けたためと推定された. また地下水排除工の効果を予測するため解析モデルを用いて水位変化の検討を行ったところ, 地下水排除工の設置深度や地下水の流束などが水位低下に影響を与え, 排除工の設置地点により水位低下の効果が異なることが示された.
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© 日本応用地質学会
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