応用地質
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第三紀堆積岩を用いたガスと水の浸透係数の比較とKlinkenberg効果
谷川 亘嶋本 利彦
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2006 年 47 巻 3 号 p. 131-139

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抄録
地下深部におけるガスの浸透係数は, 天然ガスの貯留・移動問題を解明するうえで重要な水理パラメータである. また, ガスで求めた固有浸透係数を水の固有浸透係数として代用する場合と, 水-ガスの二相流問題を解析する場合においてガスと水の固有浸透係数の違いおよび各々の特徴を把握する必要がある.
本研究では, 室温高封圧下の有効圧サイクル試験により, 同一試料におけるガスと水の固有浸透係数の測定および比較を行った. いずれの試料においてもガスの固有浸透係数は水の固有浸透係数に比べて2~10倍ほど高い値を示し, また強い間隙圧依存性を示した. 固有浸透係数はサイクル数および有効圧の増加とともに減少していったが, その減少量はガスと水の固有浸透係数の差に比べて非常に小さかった. ガスの固有浸透係数の間隙圧依存性を表すKlinkenberg効果をもとに水の固有浸透係数を推定すると, 実際に測定した水の固有浸透係数とほぼ同じ値を示した. このことはガスと水の固有浸透係数の違いがKlinkenberg効果によることを示唆する. とくに固有浸透係数が10-18mm2より低い場合かつ間隙差圧が0.3MPaより低い条件下でガスの固有浸透係数を測定した場合には, Klinkenberg効果によるガスと水の固有浸透係数の違いは無視できなくなる.
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© 日本応用地質学会
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