応用地質
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新潟県魚沼丘陵北部の河成段丘の層序
幡谷 竜太柳田 誠山本 真哉佐藤 賢古澤 明
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2006 年 47 巻 3 号 p. 140-151

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抄録

現在, われわれは2004年新潟県中越地震震源地付近の第四紀後期の地殻変動について検討を進めている. 本稿では, 魚沼丘陵北部に分布する河成段丘層序の調査結果を速報し, さらに, 魚沼丘陵東縁の六日町盆地西縁断層の活動性に触れる. 調査地域に分布する河成段丘は, 空中写真判読調査により, 高位より, Hf, Mf, Lf面に区分される. さらに, Hf面はHf 1~3面に, Lf面は, Lf1~4面に細分される. 続いて, 火山灰層序に基づいてこれらの編年を行った. Hf 3面は海洋酸素同位体ステージ (MIS) 6よりも古く, MIS 8に対比される可能性がある. Mf面はMIS 6に対比される可能性が高い. Lf 1面はMIS 5/MIS 4境界~MIS 4/MIS 3境界頃に段丘化したと考えられる. Lf 2面の段丘化はMIS 3/MIS 2境界頃である. Lf 3面の段丘化はMIS 2と推定される. Lf 4面の段丘化は1万年前ごろである. これら河成段丘の比高を指標として予察的に見積もった過去10万年間程度の隆起量に基づけば, 六日町盆地と魚沼丘陵東縁の過去10万年間程度の相対的な隆起・沈降量差は40m程度より大きいと推定される. このことは, 六日町盆地西縁断層の活動度がB級程度かそれ以上であることを示唆する.

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© 日本応用地質学会
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