2005 年 21 巻 1 号 p. 3-13
近年中国では, 国策による情報化促進に伴い, 学校へのコンピュータ配置やネットワーク化, 教員のIT研修等教育の情報化に向けた積極的な取り組みがうかがえる.反面, 利用者の情報モラルやネット犯罪等情報の影に関する問題が表面化し, 学校教育での対応が後手となっていることも否めない.日本では, 文部科学省が示した情報教育の内容において, 情報社会に参画する態度として情報モラルの必要性を提起し学習に位置付けている.中国では, 情報化に関するこれら諸問題への対策が喫緊の課題である.本論文では, 中国山東大学(Shandong University)との学術交流に基づき, 山東省済南市内の学校視察を通して, 日中両国の小中高大学の児童生徒・学生749人を対象に生活や学習状況および情報教育についてアンケートによる意識調査を実施し比較検討した.結果より, 日中両国におけるICT(Information and Communications Technology)を利用した授業の実態や情報教育への取り組み, 課題について考察した.