抄録
本研究の目的は,高等学校における探究の充実を図るために,高校生の主体性及びGritが探究に与える影響を明らかにすることと,情報Ⅰとの連携のあり方を検討するための基礎的資料を得ることである.2年間の総合的な探究の時間の学習の授業を終えた高校生64名を対象に,学習者の個人内特性のうち,主体性及びGritを取り上げ,探究との関係を探索的に把握するための意識調査を行った.主体的な学び得点とGrit得点の平均を基準として個人内特性を群分けし,分散分析を行った結果,探究テーマの設定の適否,探究に対する満足感,協調性について,主体性とGritの両方が平均より高い群が,両方が平均より低い群よりも高評価であった.このことから,探究の充実には主体性とGritの両方を高めることの必要性が示された.また,質的分析の結果,探究に取り組む時には,情報Ⅰの学習内容を明示的に関連付ける必要性が示唆された.