日本フットケア・足病医学会誌
Online ISSN : 2435-4783
Print ISSN : 2435-4775
原著
維持透析患者における心電図R-R間隔変動係数と皮膚灌流圧との関連
小川 知美柴田 聡遠山 龍彦
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 4 巻 3 号 p. 165-170

詳細
抄録

 維持透析患者は, 末梢動脈疾患 (peripheral arterial disease : PAD) の有病率が高いことが知られる. PADの診断に下肢の血流評価法である皮膚灌流圧 (skin perfusion pressure : SPP) 等が用いられるが, 全例に検査することは難しい. 一方, 自律神経障害は動脈硬化症と関連があり, 心電図検査で測定される心電図R-R間隔変動係数 (coefficient of variation of R-R intervals : CVRR) で計測可能である. そこで我々は, 維持透析患者におけるCVRRとSPPとの関連を横断的に検討した. 対象は当院に通院する維持血液透析患者 (n=65) とした. 潰瘍などの足病変の合併とCVRRについてROC解析を行い, CVRRのカットオフ値を1.42とした. 対象をCVRR正常群 (CVRR≧1.42) とCVRR低値群 (CVRR <1.42) に分類したところ, CVRR低値群のSPP (51.9 mmHg) はCVRR正常群の SPP (73.1mmHg) より低値であった (p<0.001) . この結果は糖尿病例でのサブグループ解析でも同様であった. 以上より, CVRRはSPPと関連があり, CVRRがPAD診断の補助となる可能性が示された.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人日本フットケア・足病医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top