2024 年 5 巻 2 号 p. 55-62
本稿では運動療法を専門としないフットケアチームの透析医療スタッフを想定読者とし, 足病領域に限定しない透析患者への運動療法の概要について解説する. 運動療法は医療に限定しない極めて広大な領域であり, 総論といえども限られた紙面で全てを網羅することはできないので, 透析患者への運動療法に取り組むにあたり理解しておくべき項目として, 透析運動療法の経緯,運動療法の効果, 運動処方に必要な総論的基礎知識 (トレーニングの3原理・5原則, 安全限界と有効限界, 運動処方, 継続性を高める工夫), 透析患者の主要足病変であるLEAD (Low Extremity Arterial Disease) を中心にフットケアにおける運動療法, の4つを取り上げる. なお, すべての運動療法が必ず行き当たる最大の障壁は継続性であり, 透析運動療法もその解決への実践的試行錯誤を通じたスキルアップこそが最重要である. そしてこの障壁に行き当たった時に確認すべきポイントはすべて「トレーニングの3原理・5原則」のなかにあることをあらかじめ強調しておきたい.