2024 年 5 巻 3 号 p. 145-151
包括的高度慢性下肢虚血 (chronic limb threatening ischemia : CLTI) に対する血行再建術の基本は動脈血行再建である. しかし足部動脈の分布が破綻した, いわゆるdesert footに対しては施行困難なことが多い. このような解剖学的に重症なCLTIはno-option CLTIと称され, 糖尿病や透析患者に多く認めるため今後増加が予想される. No-option CLTIに対する代替治療がいくつか試みられているが, どれもコンセンサスを得られておらず, 次の一手となり得ていないのが現状である.
その代替治療の一つにdistal venous arterialization (DVA) がある.
DVAは足部静脈を動脈化することで組織の虚血改善を図る術式で, 外科的DVA (s-DVA) と経皮的DVA (p-DVA) がある.
s-DVAで逆行性に足趾まで十分な動脈血を供給するためには, 確実な静脈弁処理, 分枝を介した生理的動静脈shuntの制御が重要となる.
また末梢側吻合部の選択やDVAを長期開存させるための術後管理, DVAを活かした創傷治療も必要な要素である.
No-option CLTIは, 救肢を目指すわれわれ血行再建医が乗り越えなければならない大きな壁であり, 今後もエビデンスの蓄積が必要である.