日本フットケア・足病医学会誌
Online ISSN : 2435-4783
Print ISSN : 2435-4775
原著
美容用角質削り器を用いた踵部白癬の検体採取-妥当性研究-
法木 左近石田 久哉
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 5 巻 3 号 p. 175-180

詳細
抄録

 足白癬は糖尿病足病変の予後に関係するため, フットケア領域では重要な疾患である. 趾間型, 小水疱型, 角化型の3つの病型があり, 踵部にはかゆみをほとんど呈さない角化型が多い. したがって, 疾患を見逃す可能性が高く, 正確な診断を必要とする. 白癬診断のゴールドスタンダードは水酸化カリウム直接鏡検法 (KOH法) であるが, 特に踵部は検体採取部位や採取方法に経験を要する. 本研究では誰でも簡便に検体を採取できる方法として, 美容用角質削り器 (以下角質削り器と略) を用いた. さらにこの検体を, 爪白癬に対して保険適用になっているモノクローナル抗体白癬菌抗原キット (以下キットと略) で診断を試みた. 被験者は, 角化型足白癬で皮膚科通院中および踵部の角化を主訴に皮膚科を受診した19名, および健常人ボランティア20名の計39名とした. その結果, 感度, 特異度, 診断精度, 陽性尤度比, 陰性尤度比においてKOH法と高い診断一致率を示した. 角化型足白癬の診断に, 角質削り器とキットを使用した方法は, 有用であると考えた.

著者関連情報
© 2024 一般社団法人日本フットケア・足病医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top