2026 年 7 巻 2 号 p. 123-133
下肢閉塞性動脈疾患 (lower extremity artery disease: LEAD) を合併する血液透析患者において, 透析膜の生体適合性が微小循環に及ぼす影響を概説し, 透析膜選択の臨床的意義を検討した. 文献的考察に加え, 当院における透析膜ごとの, 透析中の白血球・血小板変動率の検討結果も踏まえて評価した. 生体適合性の観点では, 膜素材の違いのみならず, 滅菌方法や表面構造の差異が白血球活性化, 血小板活性化, および炎症性サイトカインの誘導を介して, 末梢微小循環に影響を及ぼすことが示されている. 特にLEAD患者では, 末梢血管床が脆弱であり, 透析膜が誘発する微小循環障害が下肢虚血の悪化に関与する可能性がある. 近年, ビタミンE固定化コーティングポリスルホン (VEコーティングPS) 膜やAN69系膜など, 生体適合性を向上させた膜の利点が報告されている. これらの透析膜は, 透析中の血小板活性化や白血球減少の抑制に寄与し, 微小循環保護の点からも有用である可能性が示唆された. 以上より, LEADを合併する透析患者においては, 生体適合性の高い透析膜の選択が微小循環障害の進展予防に寄与する可能性があり, 個別化された透析膜の選択が重要であることが示唆された.