2014 年 12 巻 2 号 p. 18-32
本研究の目的は、ダウン症のある乳幼児を育てる母親が子、家族、親仲間との交流の経験を通じて社会化していく過程を明らかにすることであった。分析方法は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。対象者は日本ダウン症協会会員でダウン症のある幼児の母親11名であった。
本研究で見出されたカテゴリーは以下の3つであった。①【ダウン症のある子と出会い、家族の中に迎え入れられるプロセス】、②【未知なる社会に踏み出し、ダウン症のある子の母親として次第に能動的になるプロセス】、③【社会の実情と山積みの課題を知り、そこで生きる母親として家族の将来を考えるプロセス】。母親に生じる社会化はこの3つの過程を経ていた。
この過程は受容過程の社会的側面であり、母親の成長でもあった。母親にとって、親仲間の存在は一般社会の中に母親がスムーズに参入していくための起点であった。また親仲間は母親の重要な居場所であり、母親が自らを説明する上での軸であった。