2026 年 25 巻 p. 1-10
【目的】本研究は、出生前検査に関する夫の知識とその関連要因、および夫婦間の話し合いに対する夫の認識・行動の実態を明らかにすることを目的とする。
【方法】本研究は、妊婦の夫を対象とした無記名自記式質問紙調査による横断的研究である。主な調査内容は、対象者の基本情報の他、妻に対する夫のコミュニケーション態度、妊婦に対する夫の役割行動、障がいに対する意識、出生前検査に関する夫の知識および出生前検査に対する認識と行動である。収集したデータは単純集計後、夫の出生前検査の知識に影響する要因をχ²検定とKruskal-Wallisの検定を用いて分析した。
【結果】回収数50人(回収率:34.7%)のうち有効回答44人分を分析した。出生前検査について「名前だけ知っている」19人(43.2%)、「全く知らない」14人(31.8%)、「目的や内容を知っている」11人(25.0%)であった。 「全く知らない」群は、他の2群と比較して、妻が出生前検査を受けたか分からないと回答した者の割合が有意に高かった(p=0.0132)。「目的や内容を知っている」群は「名前だけ知っている」群よりも日常の妻に対する夫のコミュニケーションの無視得点が有意に高く(p=0.0188)、障がいに対する意識の得点が有意に低かった(p=0.0079)。また、「目的や内容を知っている」全員が、「出生前診断を考えるときは夫婦で話し合うべきだ」とし、うち10人は「夫としての考えを持っておくべきだ」とした。
【考察】出生前検査について目的や内容まで知っている夫は少数であることから、多くの夫は出生前検査について知る機会がなく、出生前検査に対する関心が高くないことが推察された。出生前検査に関する情報提供が全妊婦を対象とする方針となっている今日、夫婦で話し合いができるように支援するには、妊娠初期あるいはそれ以前より妊婦本人だけでなく夫も含めて情報提供をしていく必要がある。