抄録
著者らは従来より, 確率論的地震ハザード評価と想定地震を結びつける手法として確率論的想定地震の概念を提唱してきたが, 想定地震選定のための規範は単一地点でのハザード情報であった. 本論文ではそれを地域という拡がりを対象とした場合の想定地震の選定法に拡張するため, 地域の集積地震リスク情報に基づく確率論的想定地震の概念 (リスク適合想定地震) を新たに構築した. この概念は地域防災計画や複数施設の地震被害シナリオ評価のための想定地震の選定などにおいて, 今後きわめて有用な手法となると考えられる.