2007 年 5 巻 1 号 p. 1-17
本稿では、「遺伝」について「学習」することがどのようなことであるのか考察するために、遺伝に関する学習支援プログラムを作成するための予備調査としてなされた大学生対象のグループ・インタビューを分析し、以下の結果を得た。(1)参加者たちは、遺伝的知識を「高度なもの/身近なこと」という区別のもとで理解し、それぞれ自らの知識や経験へと結び付けていた。(2)参加者たちは、「正しい」知識の整理を試み、知識に対する評価を行っていた。(3)参加者たちは、遺伝的知識について「知る/知らないでいる」という区別を用いており、それを「世代」や「当事者」といった成員カテゴリーに結びついた権利の問題として扱っていた。なお、これらのインタビューの実践においても学習の契機が生じており、学習支援プログラム作成へ向けて、学習すべき知識を定式化していく実践のあり方について考えていく重要性が示唆された。