頭頸部外科
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原著
放射線性喉頭壊死症例の検討
松尾 美央子力丸 文秀檜垣 雄一郎冨田 吉信
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キーワード: 放射線性壊死, 喉頭, 治療
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2010 年 20 巻 2 号 p. 153-159

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抄録

放射線治療は喉頭・下咽頭癌の治療において喉頭機能温存の点で優れた治療法だが,一方で重篤な局所障害を招く事があり喉頭壊死もその一つである。今回検討した喉頭壊死の発症頻度は2.9%で,臨床所見として咽喉頭粘膜浮腫・壊死,喉頭麻痺,皮膚潰瘍,嚥下障害が認められた。また壊死症例のうち88%が照射終了後18か月以内の発症で,喉頭壊死は晩期障害とはいえ比較的早期に発症する事を認識した。治療は保存的に治癒したのが38%,手術が必要だったのが63%で,壊死症例の喉頭温存率は63%であった。喉頭温存目的の放射線治療が,結果として喉頭機能を失わせる事もあり,今後この合併症をいかに減らすかが課題の一つと思われた。

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© 2010 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
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