頭頸部外科
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原著
当科における口腔底癌の予後因子の検討
上條 朋之鬼塚 哲郎中村 哲浅野 理恵飯田 善幸
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2011 年 21 巻 2 号 p. 157-162

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抄録
当科で手術加療を行った口腔底癌における予後因子の検討を行った。対象は2002年9月から2007年12月までに当科で手術加療した口腔底癌35例(男性30例,女性5例),平均年齢は61.8歳(38~78歳)であった。Stage分類ではStage 0:1例,Stage I:10例,Stage II:8例,Stage III:2例,Stage IVa:14例であった。腫瘍の切除には,1.口腔底浅層切除,2.深層切除,3.Pull-through切除を選択し,それぞれ6例,11例,18例であった。3年粗生存率は74.2%,疾患特異的3年生存率で82.6%であった。予後との相関において,下顎骨浸潤の有無や手術様式など局所に関する因子では有意に予後と相関する因子は認めず,下顎骨切除の是非はCT,MRなどの評価に応じて切除を考慮すればよいと考えられた。予後に相関した因子として病理学的リンパ節転移の個数が5個以上で有意に予後が悪くなる傾向があったが,N Stageには明らかな予後との相関は認めなかった。また,粘膜下深部浸潤が10mm以上の症例で有意にリンパ節転移をきたす傾向があり口腔底癌の手術治療時には深部浸潤の正確な評価および頸部郭清範囲の決定が大事であると考えられた。
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© 2011 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
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