抄録
側頭骨は複雑な構造を持つため,その解剖を理解することは困難である。側頭骨解剖を学習するための教材として,一般的には二次元の情報媒体である書物やビデオ画像などが用いられるが,三次元の教材の方が解剖を立体的に理解しやすく,最も有効なのは側頭骨解剖実習であるとされている。しかし,解剖実習を行うことができる機会は限られているため,立体模型やシミュレータなど様々な方法が報告されている。今回,われわれはヒト側頭骨の臨床解剖を行い,体表から深部まで計22層の解剖を行った。それぞれの層を多視点3D撮影し,任意の時間に任意の部分を任意の方向から任意の倍率で各層の解剖を三次元立体視できるシステムを構築したので報告する。