2014 年 24 巻 1 号 p. 63-68
Spindle cell carcinoma(sarcomatoid carcinoma)は扁平上皮癌成分と紡錘形細胞を主体とする肉腫様成分とが混在してみられる悪性腫瘍であり,扁平上皮癌の亜型として分類されている。今回,われわれは急速に進行したspindle cell carcinomaの1例を経験したので報告する。症例は58歳男性,急性心筋梗塞にて救急救命センターに搬送され,気管切開術が施行された。抜管後に呼吸困難が出現し,気管支鏡検査により喉頭声門下より気管内に腫瘍性病変が確認された。再気管切開術とともに腫瘍組織検査が施行され,病理組織検査からspindle cell carcinomaと診断された。約3週間後に手術を予定していたが局所の急速な増大とともにリンパ節および遠隔転移が進行し,手術不能と判断される状態になった。診断後2か月で死亡し,不幸な転帰となった。