血液疾患に対する造血幹細胞移植後の口腔扁平上皮癌(OSCC)症例について報告する。症例は男性5例,女性1例で年齢は37~68歳(中央値46.5歳)であった。全例が造血幹細胞移植後に慢性GVHDを発症しており,移植から3~16年(中央値9年)経過後にOSCCを発症していた。全例が高分化型扁平上皮癌であり,背景には強い慢性炎症所見を認めたため病変の境界の判定が困難であった。そのため切除安全域の設定および術後追加治療の必要性については議論の余地がある。造血幹細胞移植後に慢性GVHDが遷延する症例にはOSCC発症のリスクがあるため,注意深い診察と経過観察が必要である。